プロローグ
海外映画の醍醐味と言えるのが、食卓シーン。先日ご紹介したピザ編に引き続き、今回は”ディッシュ編”です。ピザ編と違うのは、きちんとした食事という感じのシーンから選ぶ洋画飯という点です。ピザ編は、ピザの入れ物のままにビールで流し込みながら食べる、ラフさが魅力のシーンを多くご紹介しましたが、今回はお皿にもこだわり、見た目にも気を遣った料理が並ぶ、華やかなテーブルディッシュが主役です。ラフなシーンも良いですが、たくさんの料理が並べられた食卓シーンにも、魅力がたくさん詰まっているのです。
食べてみたい洋画飯!【ヘルプ~心がつなぐストーリー~】から
この映画の中でご紹介したいのは、なななんと3つのお料理です!まず1皿目は、冒頭で、ポーカーの会の準備をするアイビリーンが料理をしているシーンがありますが、その時にマスカットで飾り付けをしている、サラダのような前菜があります。何度見てもそのディッシュが何者なのか分かりませんでしたが、想像するにマスカットを飾っている下にあるのは、おそらくあれはツナではないかと思うのです。調べてみたらキューピーさんで紹介しているレシピに、マスカットとツナの組み合わせのものを発見したので、ありえなくもない組み合わせなのだと思います。(参照:https://www.kewpie.co.jp/recipes/recipe/QP00013550/)画面越しに初めましての組み合わせだったのですが、想像したらちょっと美味しそうで、また、彩りも鮮やかな黄緑色が爽やかで、非常に食べて観たくなったディッシュでした。
2皿目と3皿目はどちらも料理自慢ミニーの料理です。ミニーのフライドチキンとミニーのチョコレートパイです。フライドチキンは、作る場面から食べる場面まで登場しており、その間完全に食テロ状態です。ミニーの作るフライドチキンは、よく味が染みているようないい色をしています。油もそんなに多くを使っているような感じもしなく、まさにカリッと揚がっているようでした。そして、それを頬張るシーンの音と言ったら!!丁寧に料理をして美味しくいただく、そんな小さな幸せを感じる逸品です。
チョコパイは、紆余曲折あるのですが、チョコパイ自体には罪はないのです。そして、ミニーのパイは絶品であると映画の中で言われており、きっとおいしいに違いないと思うのです。チョコパイをヒリーが美味しそうに食べるシーンがあります。その食べ方がまた美味しそうなんですよね。鼻に抜けるチョコレートときっとバターの香りを楽しんでいる「うーーーん」という声と表情に、画面に手を突っ込んでパイを一切れ盗みたくなりました。
真似してみたい洋画飯!【トスカーナの休日】から
【トスカーナの休日】で紹介したいのは、単品の料理というより「食卓」です。主人公のフランシスが作る食卓だけでなく、プラチドの家に招待された時の食卓も、とても華やかなものでした。日本の映画にはあまり見られないのですが、海外の映画には家族とその友人などを呼んだ10数名ほどで、食卓を囲むシーンが結構あります。そして、その食卓の上は、いつも彩り豊かで、観るだけで元気になれそうな食卓なのです。【トスカーナの休日】はイタリア舞台ということで、イタリア料理は特に、トマトの赤や、ルッコラなどハーブの緑、パスタの黄色など、色に溢れていて食卓が楽し気です。そして、どれも大皿やボウルのような器に盛り付けて、所せましとテーブルに並べるのです。食べる時は、皆がその大皿から思い思いに料理を自分の取り皿に盛り付けて食べますが、その食べ方、食卓の”魅せ方”に「真似したい!!!」と、血が騒いだものでした。
しかも、作るときからにすぐ出せるお皿で料理すれば、作ったものをそのままテーブルに並べるだけで映えるんです。サラダや、煮物や、お魚でさえも、ひとつの大きいお皿にどーんと盛り付けて、綺麗に見えるように並べるだけでパーティー気分を味わえるので、洋画飯の中でもお手軽に試してみることができます。いつもそれぞれのお皿に盛っていたものを1つのお皿に盛ると、ボリュームもいっぱいに見えて華やぎや迫力が増す、というのも理由のひとつかもしれません。イタリア映画は、食卓のシーンが楽しいという魅力もあるんですね。
食べてみたい洋画飯!【幸せのレシピ】から
【幸せのレシピ】は、レストランの料理長ケイトがヒロインなので、出てくる料理はどれも一級品です。しかし、その中でも食べたくなったのは、ケイトがゾーイに作った魚料理。日本の魚料理もたくさんありますよね。焼き魚、煮魚、刺身、汁物・・・。確かに美味しいのですが、やはり日本人の慎ましい性格が出てしまい、見た目の表現は素朴ですよね。洋画飯の楽しいところは、やっぱり華やかなところ!
ゾーイに出した魚料理も、大きな白身魚を1尾まるまる焼いていて、レモンやハーブをかけて食べていました。「レモンとハーブ」と聞いて、想像力豊かな人であれば、もうそれが美味しそうなのが分かるでしょう。日本では滅多にしない魚との向き合い方ですよね。でも、レモンのビビットな黄色と、新鮮なハーブの緑がお魚の上にあるだけで、例え焼いただけであっても、その魚は一流の料理に見えるのです。きっと、バターの香りやオリーブオイルの香りがして、塩味が絶妙で、白身はふっくらとしていて、美味しいんだろうな・・・。やっぱり視覚的に訴えかけるものは、重要なのだと実感します。
もう一つ、こちらの映画からご紹介したいのが、ニックが作ってきたティラミス。大きめタッパーの隅から隅まで使って作られた、タッパー丸ごとティラミスが、両角から中心に向かって直接スプーンで食べ進められているのを見て、無性に食べたくなるはずです。洋画飯のデザート編を作るなら、絶対的に候補に挙がるデザートでしょう。そして、【幸せのレシピ】では、ピザのシーンを観ることができます。ピザや他のディッシュを床に布を敷いた上に並べて、シーツのような大きな白い布で天蓋を作って、キャンドルを灯した室内でのピザの楽しみ方も素敵でした。
エピローグ
どの洋画飯も、いいと思った洋画飯は、相手の事を考えて丁寧に作られたものです。【幸せのレシピ】なんかは、料理系ムービーだからエントリーするのは当たり前感がありますが、選んだディッシュはケイトがゾーイのために作った魚料理と、ニックがケイトのためにつくったティラミスです。この、特定の誰かに向けて作られた料理ほど、美味しいものはないのかもしれません。洋画飯は、日本と違う食文化を観る楽しさと、生きる源である「食事」について、ヒントを見つける楽しさがあるのです。
kato
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